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「キックより強いパンチを打てるのか?」と「M&Aレバレッジ」の共通点

会社の売却可能額(パンチ力)は、
純資産やLBOローン等の金額(筋肉量)だけで決まりません。
もっと大事なのが、「事業(ビジネス)サイドのレバレッジ」です。

突然話が変わりますが、
私は、毎週1回程度、ジムでサンドバックを叩きまくり、
パンチ力に磨きをかけてます。

追求中のテーマは、
「キックよりも強いパンチを打つことはできるか?」
です。

「ウソつけ!」「不可能だ!」という反応が返ってきますが、
アラフィフにしてサンドバッグを吊るすチェーンを切り、
サンドバックを切り裂くまで、
パンチ力強化に成功した私からすると、
「レバレッジって知ってますか?本当にリアルに知っていますか?」
と聞き返したくなります。

今回は、M&Aでも誤解されまくりの、
「本当は一番大事なM&A会社売却におけるレバレッジの本質」について、
軽く触れてみたいと思ってます。

全く同じ会社(ターゲット企業)でも、
ある会社(バイサイド1)にとっては、1円でも欲しくない、
ある会社(バイサイド2)にとっては、100億円でも欲しい。
が「同時に」ありうるのが、M&A会社売却の世界であり、
この差の多くについて、レバレッジという概念で説明できると考えています。

「純資産とか市場株価が企業の価値の基準であって、
買収額が割高か割安か判断するには、この基準と比較すればよい」
という風潮があります。

TOBでプレミアムが20-30%なら妥当、50%なら割高という説明や、
巨額ののれんは必ず失敗するかのような説明も根っこはここにあります。

もしその基準が正しいなら、
「シリーズA資金調達は常に不可能」という結論になりますね。
つまり、合理的に説明できていません。

同じ、エクイティ・キャピタル・マーケットなのに、
片や将来の売上や顧客数を基準に株価が決まり、
片や純資産や去年の営業利益で株価が決まるのは、
明らかに矛盾があります。

正しい説明を、読者や広告主が求めていないのか、
いつまで経ってもメディアの風潮は変わりません。

案件A
創業間もないシリーズA資金調達+全ては今後の成長ストーリー次第
⇒「売上ゼロでも数億円~数十億円の資金調達をしたい!」がご希望

案件B
設立後数十年経過+業績ガタ落ち直後+利益率低下基調
⇒「純資産の数倍で会社売却したい!」がご希望

「会社売却」は既存株式の大半の売却、
「資金調達」は会社の一部持ち分となる新株を売るので、
投資銀行業界の中では、
両方とも、M&A部門が提供するセルサイドFAサービス(エクイティ・ファイナンス)になります。

一見すると、「案件を成功させるのが難しそうだな」という点以外、共通点はなさそうじゃないでしょうか?

しかも、業種は、
片や最先端事業(破壊的革新系)、
片や参入容易な一般的な事業(レッドオーシャン)です。

意外かもしれませんが、
両案件とも、ある要素が伴っていれば、成功するし、
ある要素が整っていなければ、失敗するという意味で、
大きな共通点があります。

共通するのは、
「レバレッジによって今後成功してキャッシュフローがより大きくなる」という
「実現可能な成長ストーリー」に他なりません。

金融は「情報の仲介」がその本質です。
お金の動きは結果です。

正確に情報を伝えることができても、
価値のある情報を創造することは誰か別の人の仕事になります。

つまり、金融業界で仕事をしていただけでは、
絶対に身につかないスキルが、
「シリーズA」でも、「会社を高く売る」でも
とても大事なスキルということになります。

運よくバイサイドが、
余裕資金が豊富で、
過度な楽観に偏っていて、
高値掴みをしてくれただけ(バイサイドからすると買収失敗)、というのは、
M&A会社売却で成功したとは言えません(弊社はこれを目指しません)。

バイサイドが、ターゲット企業の成長を確信し、
理想的な適正評価をしてくれる状態に至るためには、
ターゲット企業の潜在可能性を具体的に示すことが重要ですから、
M&Aアドバイザーが「実業の起業経験・成功経験・失敗経験・資金調達経験」という必須スキルを持っているかどうかで天地の差が生じると考えています。

そのため、弊社主要メンバーは、全員が何らかの形で、
金融サービス以外の「実業を起業・経営した経験」を保有しています。

しかも、できるだけ、古くからある事業と、
最先端の技術の両方の知識をアップデートすることを心がけています。

成長ストーリーの中身を大きく左右するからです。

弊社は、業界初のセルサイド特化型FAなのですが、
「ユニークな会社を高く売る」というキャッチコピーを採用しており、
この「高く売る」ために「何をするのか」が、
決定的に他社さんと異なる点であると考えています。

両案件ともに、過去に関する無難な説明だけでは、
セルサイド(売り手)のご希望は実現できなかったはずです。

よくあるのが、「将来の評価をバイサイド任せにしてしまう」やり方です。
理由は「事業の細かいことは分からない」金融マン(情報仲介屋さん)だからでしょう。

バイサイドは、あらゆる角度から、
「買収や投資が失敗するリスクがないか」、
「どのような被害が生じうるか」、
「どのような対策があるか」、
をチェックしますし、
成長ストーリーを聞いたところで、
「なぜそれが実現できるのか」、
「成功するためのリソースはわが社とターゲット企業で十分なのか」、
「市場環境・競争環境はそのストーリーを許すのか」、
をチェックします。

これに応えるのが、
しっかりとした事業計画や詳細な情報開示といった資料であり、
しっかりとした口頭での補足説明となります。

当たり前ですが、
高く売りたいなら、頑張るべきは、セールスマンです。
お客さんに値決めしてもらってはいけません。

M&Aにおけるセールスマンは、セルサイドとセルサイドFAのタッグチームです。

資金調達であろうが、会社売却であろうが、
バイサイドから見て、払うお金以上の価値があると確信いただけなければ、
大事なお金は1円も出てきません。
株を買うというのは、様々なリスクが漏れなく付いてくるものなので、
基本的に、欲しい株以外は、本業の邪魔になってしまうので、いらないわけです。

成長ストーリーの背骨にあたるものこそが、
「レバレッジ」です。

会社の価値を高く評価してもらって、好条件で売却するには、
「レバレッジ」が重要です。

しかし、M&Aで「レバレッジ」というと、
LBOLeveraged Buy-Out)」という借金のことと思いこまれている方が多くいます。

LBOは、基本的にはバイサイドの投資効率を高める効果を伴うものであり、
セルサイドにとって直接的に売却額を向上させるわけではありません。

バイサイドの資効率が高まることを通じ、
セルサイドへ提示する金額が向上しうる、
という間接的な効果しか見込めません。

LBOは、「ファイナンス側(裏方)のみのレバレッジ」だからです。

実は、もっと大事なのが「事業側(表方)のレバレッジ」です。

さて、超複雑系をイメージ的に説明するため、
冒頭のパンチとキックのたとえで説明を試みようと思います。
(無理があるのは承知の上で)

「会社の価値はある程度固定的。
純資産とか業種で決まってしまう相場感がある。」
といった、(偶然正解になることもあるとはいえ、)
基本的には大きな誤解が、なぜ生まれるのかの答えにもなります。

パンチがキックよりも弱いと思い込むのは、
「腕の筋肉が、足の筋肉よりも細いから」ではないでしょうか。
しかし、パンチやキック等の打撃の衝撃は、筋肉量だけでは決まりません。

会社の価値(パンチ力)が、元本=純資産やLBOローンの金額(筋肉量)だけで決まらないのと同じです。
もっと大事なのが、事業(ビジネス)サイドのレバレッジなのですから。

つま先で地面を蹴ってから、拳で衝撃を与えるまでに、
実に6個もの関節を経由します。
一方で、キックは3か所の関節しか経由しません。

昔、マイク・タイソンが、
「KOパンチのコツは何ですか?」と聞かれた際このように答えたそうです。
Shoulder Leverage(肩のレバレッジだ)」と。

仮に、腕の筋肉よりも足の筋肉の方が4倍あったとしても、
関節を経由するときのレバレッジ(タイミングや角度等の微妙な技術)で、
筋肉量の差以上の効果を得ることができるならば、
キックよりも強いパンチを打つことは可能なはずです。

事業も同じようなもの、
むしろ、実は、もっと柔軟に可能性を追求できるはずです。

関節の数は、6個ではなく、10個、20個とあるのが事業です。
しかも、1人の人間と異なり、関節を取り換えたり、増やしたりできますし、他の人の力を借りたり、リングの条件を変えることもできるのが、事業です。

しかも、市場環境や競争環境も日々変化していて、
多くの競合企業はすべての変化に対応できていないので、
より効率的に勝ちやすい隙間も日々生まれています。

「あらゆる選択肢を前提として、
それらを事業に注入すると、企業価値がどれだけ向上するのか」、
これが、M&Aバンカーが解くべき問いであり、
その解の中に、
「どのようなバイサイドに、
どのような成長戦略で成長させてほしいとお願いするのか」、
が含まM&A解決策が含まれるということです。

冒頭の1円でも欲しくないという会社は、
買収しても「プラスのレバレッジをかける能力または意欲」がなく、
仮に買収してもマイナスのレバレッジになってしまうと評価されたわけです。

大きなレバレッジの実現可能性。

これを誤解されずに伝わるように整理して、
ときにリードすることができる、
こういう人が、セルサイドM&Aアドバイザーの理想像だと思い、
日々精進しているのが、弊社です。



東京都港区西新橋3-2-2植竹ビル7階
シェルパ・キャピタル・アドバイザリー株式会社
代表取締役 稲村光威

<公式HP>
https://www.sherpa-capital-advisory.com/

<会社を高く売るためのM&A準備マニュアル>
https://www.ma-success-manual.com/

<会社売却成功ノート>
http://ma-success-note.com/


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SCA代表自己紹介

ユニークな会社を高く売る | 業界初のセルサイド特化型FAのSCA 代表の稲村です。 簡単に自己紹介をさせていただきますと、 略歴: ■マクロ、国内外の財務分析等(大手国内生保) ※大所高所、長期的視点からモノを見る習慣をつけさせていただく ■企業価値評価、DD等(ビッグ4会計事務所) ※M&Aバイサイドの視点を学ばせていただく ■片手FA全般(独立系M&Aハウス、投資銀行) ※巨大企業~中小企業まで、海外企業~投資ファンドまで、多様な業種を経験 ■稲村公認会計士事務所開業 ■事業会社を創業(オーナーとして) ■SCA設立 ※セルサイド特化型FA | 企業価値向上コンサル | 未来志向M&A という経歴です。 「三つ子の魂百まで」と言いますが、 「ビジネスマンとしての魂」も最初の入社後の3-5年迄で 機会や困難に対峙する姿勢の大枠が出来上がると思います。 ビジネスマン・インストールの時代と言えるでしょう。 社会人デビュー直前、 学生時代に打ち込んだのは、ボクシングで、 体育会に所属してました。 ちなみに、ガチンコで殴り合った最強の相手は、 スーパーウェルター級(70kgくらい、村田のミドルの1つ下)の 現役WBA王者だった選手です。 2Rで6発のクリーンヒットをお見舞いするに止まり、 ポキポキと肋骨を2本折っていただきましたが。 米トップランク社に「アメリカで統一戦を組んでくれ」とお願いする役を 彼のジムの会長さんから、 当時クロスボーダーに力を入れるM&Aブティックハウスの M&Aバンカーだった私が仰せつかったのが契機です。 周囲から無理と言われる挑戦が好きなのかもしれません。 肋骨折られましたので、 2ヶ月ほど、くしゃみをすると激痛が走ったのは今でも最高の思い出です。 タイプとしては、カウンターパンチャーというタイプです。 とにかくガムシャラに前に出て手を出し続ける戦い方(インファイター) 距離を置きポイントを集めていく戦い方(アウトボクサー) の中間というか、いいとこどりをする戦い方です。 「打たれずに勝つ、しかも一発で倒して勝つ」という一番効率の良い戦い方ですが、 もっとも「準備」が大変な戦い方でもあります。 ...

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