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なぜM&Aでは「ピンチはチャンス」になるのか?

よくスポーツ等では 「ピンチはチャンス」と言われます。 どういうメカニズムかと言えば、 競争相手の典型的反応である 「焦り」「油断」「消耗」を通じ、 自分が置かれる競争の環境が劇的に改善し、 大逆転が生まれるのだと思います。 例えば、ボクシングの場合、 ダウンされたボクサーが、その数秒後に、ダウンを取り返し、 一気に逆転KO勝ちをするケースです。 本当にしばしば発生します。 これは、 対戦相手が自分からダウンを取ったことで、 「圧倒的有利な新たな環境」に置かれ、 少しでも早くKO勝ちしてリスクから解放されたいという「焦り」、 もう勝てるだろうと防御を忘れて攻撃する「油断」、 慌ててスタミナを消費するパワーパンチを集中砲火することで生まれる「消耗」、 が「自滅の穴」を作ってくれるからです。 あとは、この「絶好のチャンス」をものにするだけの 今までと少し違う「予想外の反撃」をするだけです。 攻防や戦略の中に一定以上の「複雑さ」があって、 「欲望」や「恐怖」に支配されやすい人間が舵を取っているのであれば、 基本的に「ピンチはチャンス」現象は常に起きえます。 例外は「複雑さ」が入り込む余地のない短距離・重量上げ等でしょう。 肉離れしたり骨折したら勝利はないはずです。 つまり、 「ピンチがチャンスになる」のは、攻防が「複雑」な場合で、 「ピンチはピンチのまま」になるのは、攻防が「単純」な場合です。 M&A取引は、私の知る限り、「最も複雑な取引」の筆頭格です。 一方で「単純さ」に伴うデメリットを我慢すれば、 「すごく単純」にもできてしまいます。 特に売り手オーナー様にとっては、 ピンチ時の考え方・動き方次第で、 数年後の所有資産が、大幅に変わるわけです。 身ぐるみ剥がされてるかもしれないし、 多額のキャッシュを携えてアーリーリタイヤしているかもしれません。 M&A会社売却は、 通常の時でも、様々な要因で、大きな結果の差が生じます。 ピンチの時には、通常の時よりも、さらにハッキリとした差が出ます。 判定のポイント差ではなく、KO負けかKO勝ちかの違いになるわけです。 「複雑さ」に対する対処をした人だけが勝者側に行け、 「単純」対応で楽をした人は敗者として搾り取ら
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何かが変?売り手に回った元買い手の心配

<はじめに> くしくも2020年3月11日、東日本大震災からちょうど9年後、 COVID-19(新型コロナウイルス)が、 WHOにより「パンデミック」と指定されました。 株価は、恐ろしいほどの乱高下を繰り返しています。 当面、この乱気流の中で、M&A会社売却も、延期・中止・妥協等の展開が 激増すると思われます。 弊社はこの困難のなかでも、 創造的に、愚直に、Win-Win-Winを目指していきます。 ピンチをどうやってチャンスに切替えられるか、 バイサイドが当然に感じる不安をどうやって緩和するか、 教科書やマニュアルにない方法を生み出すチャンス、 M&Aバンカーの腕の見せ所と考えています。 コロナ問題を乗り越えた先には、 弊社は、またひとつ強くなっていると前向きに考えています。 コロナ問題は、いくつか条件はあるものの、大きな傷跡を残しつつ、 時間の問題で、いずれ解決するはずです。 コロナが去った後も、厳しい企業の生存競争は長く続きます。 今の困難を乗り越えることだけに集中しなくともよい状況下にあるならば、 長めの時間軸も忘れずに、今を少しでも有意義に過ごしたいものです。 <今回のお話> 昨今の事業環境の大きなうねり、 今後数十年にわたる技術革新等による変化加速見通しを受け、 大企業は事業ポートフォリオの組換えに強い関心を示しています。 大変革時代における大企業においては、 ノンコア事業を整理し、 コア事業に注力・コア事業の縦横展開が 正解になりやすく、 その一方で、行き過ぎた「選択と集中」よりも、 強烈な変化スピードに対応するため、 戦略的な「異業種結合による新たな知の創造」も 重要な時代となってます。 すぐに、「二極のどちらか」という安直な結論で思考停止したがるのが 我々人間の弱さですが、 答えは、「間のどこか」にあり、 それが「常に動き続ける」ことだけはたしかです。 自社のユニークな強みを最も発揮しやすい結合事業体へ、 変化の1歩先を読み、先手を打つ会社が繁栄する時代、 と言えるでしょう。 ところで、 「ノンコア事業は早めに売った方がよい」 と頭でわかっていても、 躊躇する大企業が多いようで、 最近の著書において、 このような記述で説

M&A負けなしの日本電産

先日、 「日本電産が多数買収しても失敗知らず」という素晴らしい実績について、 どのようにして失敗を回避したのかという記事が 某経済新聞で紹介されました。 主なポイントは以下です。 ・投資銀行の話を鵜呑みにせず買収時にしっかり調査 ・DCF法はブレるのでEV/EBITDA倍率法(8-10倍)で買収 ・買収後にハンズオンで会長自ら伝票を一枚一枚確かめ改善策を実行 結論として、 「バイサイドは、買収をゴールとせず、買収後のPMIをしっかりやれば、 日本電産のようにM&Aで成功できる」という主張であり、 いつものごとく「のれんはいかん」「安く買収しないと失敗するぞ」 という冷や水記事と異なり、 前向きな内容がメインで好感できる面もあります。 しかし、 セルサイドにとっては、M&Aはビジネス人生の集大成です。 ここで終わりにしてはいけません。 セルサイドの立場から冷静に読むと、 ・DCF法は不適切かのような評価方法という主張は真実か? ・EV/EBITDA倍率 8-10倍が適正相場という主張は真実か? ・本当にセルサイドFAはいい仕事をしているのか? という疑問が残るはずです。 まず、 DCF法ですが、 たしかにブレます。 しかし、 DCF法でしか評価できないケースもありますし、 DCF法より納得感のある評価方法があるケースもあります。 あくまでケースバイケースです。 もしも唯一絶対の評価方法があれば、 そもそも世界的に複数の評価方法が残っているわけはありません。 簡単に評価できないから複数の評価方法が長年残っているのです。 「DCF法は価格が吊り上がる傾向にあるのでDCF法での評価を信じないように」 と言いたいのでしょうが、個別事情を無視した意味のない主張です。 EBITDA倍率法の方が高くなるケースもあるからです。 次に、 同じく保守一辺倒にEBITDA倍率法10倍限度説を流したいのでしょうが、 EBITDA倍率法は、 いつ時点のEBITDAを使うのか、 どのような調整をした後のEBITDAを使うのか、 その会社が成長ステージなのか安定ステージなのか衰退ステージなのか、 業種は何?市場は?競争は? 模倣・代替リスクは? 売上モデルと時間軸との関係

うれしいことに、ようやく弊社の模倣が登場!

弊社は、2015/5に設立以来、 セルサイド特化型FA+企業価値向上コンサルという今までになかった形で、 もっとも望ましいM&Aの仕上がり方を目指しております。 弊社のサービス提供によって、 想定以上の成果を出すことができ、 しかも、バイサイドから「会社について一番詳しいですね」「また案件持ってきて」と頼まれるような Win-Win-Winです。 ・良い相手に良い条件で売却できてセルサイドはHappy ・安心して良い会社をさらに成長させられる自信ができたのでバイサイドもHappy ・弊社はそのために具体的な付加価値を創造し、貢献に応じた報酬をいただけてHappy というWin-Win-Winモデルです。 ところで、 最近、弊社の模倣(パクリ)が登場してます。 これに対し、弊社は「喜ばしい」と考えてます。 新しいビジネスモデルを市場で試し、成果を出すためには、 並々ならぬ努力や試行錯誤が必要なので、 模倣されると怒るのが通常でしょうが、 弊社はHappyなのです。 なぜかというと、 ・知識・経験・熱意・無尽蔵の体力を備えた独立系FAによって、今の日本のM&A市場の歪みを適正化する必要があるものの、弊社だけでは不可能であること、 ・M&A市場の歪みが適正化されると、誤ったM&Aが減り、M&A能力の高いバイサイドが増え、M&A能力のある経営者が増え、日本経済の活性化につながること、 というマクロな視点でもメリットがありますし、 ・弊社のかわりに広告費を投入してくれるので、弊社にとっては無料の広告になっていること、 ・本物は猿真似をされることで、更に技が磨かれること、 というミクロな視点でもメリットがあるからです。 ところで、 優れたサービスを提供できるかのような表面上の広告を乱発する、 案件獲得さえできればよい、 という悪質業者が混じっていても不思議ではありません。 これは困ります。 セルサイドは通常M&A初心者なので、業者の目利きが難しい上、業者も悪質になる強い動機がありますから要注意です。 マッチングするだけで5億円 × 両手10%= 5,000万円の売上を手に入れられるなら、CPO(1件当たり広告費)=1,000万円投入し

420年前の徳川家康の保身が、日本をマネー弱国にしている説

家康は、260年も続く平和な世を作ることに成功しました。 しかし、どんなことにも表があれば、裏があるはずです。 これと、日本人の「金融リテラシーの低さ」は直結していて、 日本人ビジネスマンを「ある音程だけ音痴」にせしめ、 現在の長引く停滞感の原因になっているのではないか、とさえ考えてます。 M&Aでセルサイドが間違った判断をしやすく、 業者都合の理屈に誘導されやすいのも、 根っこはココにありそうだと。 「士農工商」の「士」は武士ですね。 武士は、家康の首、徳川政権転覆を狙うインセンティブがあり、能力もあります。 「これはマズイ。先輩のようになりたくない」と家康は考えたはずです。 ライバルの武士に戦をさせないためにはどうするか。 自分が死んだ後、息子や孫が殺されないためにどうするべきか。 簡単に思いつくのは先輩がやった刀狩りです。 武器を持ってたら処罰すればよい。 でも、隠されたら分からないはずです。 刀狩り機能を維持する費用も莫大でしょう。 家康の作戦は巧妙でした。 家康の首を狙うレベルの戦をするには、 兵糧や武器・鎧など、とにかくお金がかかったはずです。 武士にお金が流れにくいようにすれば、 戦をする能力を間接的に、しかし完璧にはく奪できるわけです。 「参勤交代」:強制的な大金の浪費 「武士道」:武士の心構えとして、清貧を上流とする考え あたりは、ライバル大名弱体化策として活用された疑いが濃厚です。 「士農工商」で武士がトップ扱いなのはガス抜き目的でしょう。 武士は、お金=領地内の農産物の多くを政府に奪われました。 平和な世で最強になるのは商人に決まってますから、 実質的に最強となる商人の3つ上の位に位置付けて、 窮鼠になるのを防ぐ目的があったのではないでしょうか。 大商人との関係強化も図り、 ライバル大名を借金漬けにして弱体化させる策も諮ったはずです。 さて、 ここで着目してほしいのが、 「お金を卑しいものと決めつける思想」の当初目的は、 徳川家の保身目的だったのでしょうが、 必要以上に成功、普及し、超長期間持続する宗教的位置づけに上り詰めた可能性が濃厚という点です。 お金をたくさん稼ぐ人を、羨みつつ、妬み、足を引っ張ろうとする

弊社はセルサイド特化型FAなのですが。。。

弊社は、セルサイド特化型FAという珍しいスタイルなのですが、 何をやってるかというと、端的に言えば、 「クライアント企業の魅力を引き出せるだけ引き出した上で、 最適な会社やファンドから、株等の代わりにお金を引っ張ってくる。」 です。 そのため、 オーナー社長引退: 100%又は過半株式の売却(M&A会社売却) が典型例の1つですが、 他にも、 ベンチャー企業の資金調達支援(通常、新株発行:エクイティファイナンス) もお手伝いすることがありますし、 成長加速を狙い、強力な成長パートナーに資本参加してもらう(経営継続) という形を実現するようお手伝いすることもあります。 さらに、 その準備作業として、 (「企業価値向上コンサルティング」という名前を付けてますが、) さまざまな角度から、 外部からの視線で評価されやすい、 つまり、「ファイナンス的に高い評価が得られやすいような会社の仕組み」に 変えていただくサポートのサービスもご提供しています。 最近は、 「まだ、会社を売るとか、資金調達したいとか、全然決まってないんだけど、 どういう絵を描いていくべきか、 私はこれから〇〇な風に会社と関わって、〇〇を優先的に達成したい。」 といった、かなり早い段階からのご相談もいただくことが出てきました。 ややもすると、 オーナー社長の「絶対にプラスになるはず」という思いが、 ファイナンスの世界では「マイナス評価」になってしまうことがあります。 早めに、エクイティファイナンスの専門家に相談されることは 非常に賢明ですが、 通常、費用が高くて手が出ないと思います。 月々百万円単位の報酬を要求されるのは、成長リソースを喪失しているのと 同じだからです。 もし、将来、 エクイティファイナンスによる成長 事業ポートフォリオの入れ替えによる経営資源の集中 引退を見据えた会社売却 成長パートナー探し等、 つまり、『株を使ってお金を引っ張ってくる』という、 弊社のメインのお仕事をいただけることだけを条件として、 基本的に無料でご相談に乗らせていただいております。 (業務負荷を考慮して、僅少額の報酬をご相談させていただく場合はあります)。 早い段階からご相談いただくことは、弊社としてはウェ

「キックより強いパンチを打てるのか?」と「M&Aレバレッジ」の共通点

会社の売却可能額(パンチ力)は、 純資産やLBOローン等の金額(筋肉量)だけで決まりません。 もっと大事なのが、「事業(ビジネス)サイドのレバレッジ」です。 突然話が変わりますが、 私は、毎週1回程度、ジムでサンドバックを叩きまくり、 パンチ力に磨きをかけてます。 追求中のテーマは、 「キックよりも強いパンチを打つことはできるか?」 です。 「ウソつけ!」「不可能だ!」という反応が返ってきますが、 アラフィフにしてサンドバッグを吊るすチェーンを切り、 サンドバックを切り裂くまで、 パンチ力強化に成功した私からすると、 「レバレッジって知ってますか?本当にリアルに知っていますか?」 と聞き返したくなります。 今回は、 M&A でも誤解されまくりの、 「本当は一番大事な M&A 会社売却におけるレバレッジの本質」について、 軽く触れてみたいと思ってます。 全く同じ会社(ターゲット企業)でも、 ある会社(バイサイド1)にとっては、1円でも欲しくない、 ある会社(バイサイド 2 )にとっては、 100 億円でも欲しい。 が「同時に」ありうるのが、 M&A 会社売却の世界であり、 この差の多くについて、レバレッジという概念で説明できると考えています。 「純資産とか市場株価が企業の価値の基準であって、 買収額が割高か割安か判断するには、この基準と比較すればよい」 という風潮があります。 TOBでプレミアムが20-30%なら妥当、50%なら割高という説明や、 巨額ののれんは必ず失敗するかのような説明も根っこはここにあります。 もしその基準が正しいなら、 「シリーズA資金調達は常に不可能」という結論になりますね。 つまり、合理的に説明できていません。 同じ、エクイティ・キャピタル・マーケットなのに、 片や将来の売上や顧客数を基準に株価が決まり、 片や純資産や去年の営業利益で株価が決まるのは、 明らかに矛盾があります。 正しい説明を、読者や広告主が求めていないのか、 いつまで経ってもメディアの風潮は変わりません。 案件 A : 創業間もないシリーズ A 資金調達+全ては今後の成長ストーリー次第